先日の記事では、クレジットカード会社はインボイス制度の媒介者交付特例を使えず、また、クレジットカード会社自体もインボイスを発行することはできないと書きました。

今回は、クレジットカード会社がインボイスを発行することはできないという部分について掘下げてみます。

そもそも、クレジットカード会社がインボイスを発行することができない理由については、先日の記事の通りです。
(クレジットカード会社自身が商品を販売していないため、商品に含まれている消費税を証明できないから)

○現在は会計ソフトとクレジットカード会社からのクレジット情報を連動させて、自動的に記帳している会社が多くあります。
記帳のやりかた自体は別に問題ありませんが、販売者が発行した領収証を保存しておかないと消費税の仕入れ税額控除の適用要件を満たしていないため、後で税務調査があった場合には否認される可能性があります。

○所得税や法人税はクレジットカードのご利用明細があれば否認されないと思いますが(ただし支払内容を推察することができない場合や金額が高額な場合は否認される可能性があります。)、消費税では、適用要件について厳しく規定されているため、否認されても文句は言えません。

○なぜ消費税は厳しいのでしょうか。
以下は私見ですが、
消費税は、売上に係る消費税から経費に係る消費税を控除した金額が納付税額となりますし、計算の結果マイナスになる場合はその金額が還付されます。
これに対して所得税や法人税は所得(=利益)に税率を乗じて納付税額を計算します。利益がマイナスになっても還付はされません。
ということは消費税では、領収証に記載されている消費税額というのは、言ってみれば金券のようなものです。
ですから消費税では控除するのに要件(インボイス及び帳簿の保存)が厳格化されているのではないでしょうか。

※上記は消費税を本則課税(全額控除)で申告する場合における一般的な取扱いについて記載しております。簡易課税又は2割特例並びに少額特例を受ける場合などは関係ありません。

○補足
・クレジットカード会社が発行したご利用明細を保存することで、消費税の仕入税額控除を適用することができるかどうかについて、国税庁は見解を公表しています。

・以下国税庁の見解です。
 「クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)が作成・交付する書類ではなく、当該他の事業者(カード加盟店)の氏名又は名称及び登録番号が記載された書類にも該当しないため、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。
 したがって、クレジットカード会社の作成した請求明細書を保存することにより仕入税額控除の適用を受けることはできません。この場合、課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)から受領した適格請求書等を保存することで、仕入税額控除の適用が認められます。」

・先ほど私が述べた内容と同じです。

・しかし実は、最近まで見解の内容が少し違いました。
 「(中略)該当しません。」の後の文章はこうでした。
 
 「しかし、クレジットカードサービスを利用した時には、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、「ご利用明細」等を発行しているのが通常です。
 この「ご利用明細」等には、1その書類の作成者の氏名又は名称、2課税資産の譲渡等を行った年月日、3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)、4税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額、5その書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。

・このように現在の文章とは違っており、見解を変更しています。
 タイミングとしては、インボイス制度開始のときだと思います。
 
・以前はまだ仕入税額控除の適用の余地があるという文言でしたが、現在では余地無しです。
 
・クレジットカードの利用明細をインボイスとして認めるようにしていただきたいと述べましたが、先行きは思わしくなさそうです。。。
 
 

令和5年分の確定申告のご依頼はこちらから