前回、インボイス制度の媒介者交付特例について記事を書きました。

その中で、クレジットカード会社は媒介者交付特例を使うことができないということで、その説明の中でクレジット手数料が出てきました。
このクレジット手数料を書いているときに思い出したことがあったので、今回書いてみます。

(一部抜粋)
購入者が、もともとの販売者からクレジットカードで10,000円で商品を購入しました。
 そのとき同時にもともとの販売者は10,000円の債権をクレジットカード会社に9,700円で売却しています。(クレジット手数料3%の場合)

上記の例えでは、もともとの販売者はクレジット手数料として300円(売上の3%)をクレジットカード会社に支払っています。
この300円は販売者にとって費用になりますが、消費税の課税取引になるのでしょうか。

〇参考までに仕訳は
(預金)  9,700円  (売掛金) 10,000円
(支払手数料)300円
となります。

〇一般的に支払手数料の科目は課税取引が多いのでクレジット手数料も同じだと考えがちですが、実は非課税取引です。

〇なぜ非課税取引なのでしょうか。
説明方法としてはいくつかあるのですが、利息としての性質があるからというのが一番わかりやすいのではないでしょうか。
売掛金ではなく受取手形であるとして、受取手形を銀行で割引いたとしましょう。
仕訳は
(預金)    9,700円 (受取手形)10,000円
(支払利息割引料)300円
となります。
支払利息は消費税では非課税取引となるため、同じ性質の取引であるクレジット手数料についても非課税取引となり、課税仕入れとはなりません。
なお、わかりやすくするため「支払利息割引料」勘定で説明しましたが、現在は「手形売却損」勘定を使うのが通常です。

〇クレジット手数料の間違いをされるかたは結構多く、実際、私が税務署で勤務しているときに税務調査で入ったときも、課税取引として入力しているかたが多かったです。
クレジット売上があるかたで消費税の納税義務が税務調査に入られたとき、必ずチェックされますので注意してください。
※本則課税の場合は、クレジット手数料を課税仕入れに計上していないか。
(※簡易課税の場合は、クレジット手数料を相殺して売上に計上していないかチェックされます。)

〇税務調査で否認されて余計な税金を払わなくてすむよう、間違えないようにしましょう。