○インボイス制度の媒介者交付特例についてご存じでしょうか。
 とっつきにくいような文言で何だこれはというイメージですが、実は人によっては便利な制度です。

○この制度はもともと
 販売商品等について、もともとの販売者と購入者との間に仲介者がいる場合、その仲介者が購入者にインボイスを発行してもよいという制度です。
 ※もともとの販売者と仲介者は、両者ともインボイス発行事業者でなければならないというのが、適用要件の1つにあります。

 商品の委託販売で言いますと、委託者(A)が受託者(B)に商品の販売を委託して、受託者(B)が購入者(C)に商品を販売した場合、購入者(C)に渡すインボイスを受託者(B)が発行しても良いという制度です。
 そうしないと、受託者(B)が購入者(C)に商品を販売する都度、委託者(A)がインボイス発行をしないといけなくなります。

 一見、そこまで便利ではないかもしれませんが、例えば道の駅などで、複数の農家から農産物の販売を受託している場合で考えてみましょう。
 農産物が売れて、(飲食店の仕入れをしている)購入者からインボイスの発行を求められたら、その度に委託元の農家に連絡を取ってインボイスを発行してもらわないといけなくなります。複数の農家の農産物が1度に売れた場合などは、かなり大変です。
 しかし、この媒介者交付特例を使えば、道の駅でインボイスを発行するので、手間が大幅に省けるということになります。
  

○これだけですとこの特例を使える人は限られていると思うかもしれませんが、料金の収納代行をしている者などについても媒介者と言えますので、この特例を使うことができます。
 例えば不動産管理会社が、家賃の集金を大家さんから委託されている場合、この特例を使って不動産管理会社がインボイスを発行することができます。

○ちなみにですがアマゾン(amazon)はどうでしょうか。
 アマゾンビジネスは媒介者交付特例を使っていますので、もともとの販売者(インボイス事業者に限る)から商品を購入した場合には、アマゾンがインボイスを発行しています。
 個人向けアマゾンは媒介者交付特例を使っていませんので、インボイスの発行はもともとの販売者が行っています。
 購入者側の視点で考えると別にどちらが発行してもいいのですが、会計帳簿にインボイス事業者の番号を入力している場合には、アマゾンビジネスのほうが便利かもしれませんね。

○クレジットカード会社については、どうでしょうか。
 媒介者交付特例を使えるような気がしますね。
 ですが正解は、残念ながらクレジットカード会社は、媒介者交付特例を使うことはできません。
 クレジットカード会社は、もともとの販売者から料金収納の委託を受けているわけではなく、もともとの販売者から債権を購入して、購入者に代金を請求しているので媒介者ではないからです。

 
(例えば)
 購入者(C)が、もともとの販売者(A)からクレジットカードを使用して10,000円で商品を購入しました。
 そのとき同時にもともとの販売者(A)は、10,000円の債権をクレジットカード会社(D)に9,700円で売却しています。(クレジット手数料3%の場合)
 ですからクレジットカード会社は、媒介者(収納代行の受託者)ではないため、媒介者交付特例を使ってインボイスを発行することはできません。また、商品はクレジットカード会社が販売したものではないためクレジットカード会社が販売者としてインボイスを発行することもできません。クレジットカード会社から送られてくる明細は、売上の明細ではなくて、あくまでも請求金額の根拠という意味です。

 仮にクレジットカード会社が代金を回収できなかった場合、クレジットカード会社はもともとの販売者に損失を請求することはできません。なぜなら債権を持っているのはクレジットカード会社だからです。このことからも、クレジットカード会社は代金回収の代行者ではないということがわかります。

 もしクレジット明細がインボイスや仕入税額控除を受けるための領収証として認められるようになれば、経理事務の量はかなり軽減されます。ですので、財務省や国税庁には、何とか新しい制度を作っていただきたいものです。
 

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