〇前回は郵便局で購入した郵便切手の消費税での取扱いを書きました。
 そして郵便切手と同じ取扱い?をするゴミ処理券について書くのですが、それを説明するにあたり、今回は消費税の非課税について書きます。

〇消費税法における条文です。

 消費税法第6条(抄)
  国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。

 ・ここでのポイントは2つあります。
 ・まず前半で「国内において行われる」とあります。つまり、非課税となるものは国内取引のみです。国外取引で非課税となるものはありません。
 ・そして後半で「別表第二に掲げるものには、消費税を課さない」とあります。つまり非課税となるものは別表第二に規定されているもののみです(=限定列挙)。

〇次に別表第二を見てみましょう。
 
 別表第二(簡略化したもの)
 (1)土地の譲渡および貸付け
  ただし、1か月未満の土地の貸付けおよび駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合等を除く
 (2)有価証券等の譲渡
 (3)支払手段(紙幣、硬貨及び約束手形等)の譲渡
   ただし、収集品として譲渡する場合を除く
 (4)預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等
 (5)日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡および地方公共団体などが行う証紙の譲渡
 (6)商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
 (7)国等が行う一定の事務に係る役務の提供
 (8)外国為替業務に係る役務の提供
 (9)社会保険医療の給付等
 (10)介護保険サービスの提供等
 (11)社会福祉事業等によるサービスの提供等
 (12)助産
 (13)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
 (14)一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
 (15)学校教育
 (16)教科用図書の譲渡
 (17)住宅の貸付け
   契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合等を除く。)

 ・少し話がそれますが(5)と(6)について、(5)には「郵便切手類、印紙及び証紙」が(6)には「物品切手等」が規定されています。物としては何となく似ていますが取扱いが大きく違います。(5)では所定の場所での譲渡が非課税と規定されているのに対し、(6)は譲渡の場所は関係なく一律で非課税とされています。
  通常、印紙や証紙を購入したとき、仕訳は非課税仕入として処理していると思います。(会計ソフトによっては「租税公課」で処理することにより強制的に不課税仕入となっているかもしれません。なお、非課税仕入でも不課税仕入れでも納税に係る効果は同じです。)
  実は印紙や証紙は、規定されている場所以外の場所(=金券ショップ等)で購入すれば非課税の規定から外れることになるため、非課税仕入ではなく課税仕入れとなりますので、本則課税で申告する場合はお得になります。
  なお、郵便切手も郵便局等以外での購入は課税取引となりますが、前回書きました通り郵便局等で購入した場合も切手を使用すれば最終的には課税取引となるので、どちらでも差はありません。

 ・もう一つ話がそれますが、パーキングメーターを利用して駐車した場合は(7)に該当し、非課税仕入となります。したがってインボイスは発行されません。

 ・さらに話がそれますが、最近、地方自治体で介護保険事業や社会福祉事業の民間事業者への委託業務で消費税の取扱いに誤りがあったことが発覚し、過払いや未払いがあったというニュースを見ます。介護保険サービスの提供は(10)により、社会福祉事業に係るサービスの提供は(11)により非課税として規定されているのですが、ひとくちに介護保険サービスや社会福祉事業に係るサービスといってもサービスは多岐にわたり、関連する事業全てが非課税となるわけではありません。そこの判断を誤ってこのようなことが起きていると思われます。

 ・話を戻しまして、所定の場所で購入した郵便切手やごみ処理券は(5)の郵便切手類に該当し、両方ともこの規定により非課税になるはずです。(※使用したときに課税取引)
  国税庁もかつて同じ見解(ごみ処理券の購入は郵便切手と同じく最終的には課税取引となる。)を出していた記憶があります。

  しかし現在は…?。

 ・次回はゴミ処理券の非課税?について書きます。
 

【次の記事】