○郵便局で郵便切手を購入したとき、レシートには非課税と書かれていると思います。

○なぜ非課税になるのでしょうか。

法律的に言うと、消費税法別表第二に記載されているからです。
(別表第二に記載されているものが非課税となります。)

では、なぜ別表第二に記載されることになったのでしょうか。
課税取引でよいような気がします。

郵便切手は、郵便物の配達という役務の提供を受けるために購入します。
消費税法では、役務の提供についての課税仕入れの認識の時期は、役務の提供を受けたときに行うこととされているため、郵便についてはポストに投函したときに課税仕入れとなります
(レターパックについても同様の取扱いとなります。)

つまり、切手の購入という行為は、郵便配達という役務の提供を受けるための前払いのようなものですので、郵便切手の購入時点では課税仕入れにはならないのです。
(なぜ不課税取引でなく非課税取引にしたのかは不明です。)

上記の取扱いを知らずにレシートのまま処理すると、間違って非課税仕入として処理してそのまま終了してしまいます。

○面倒だという人には例外の方法があります。
上記が原則的な取扱いですが、いちいちポストに投函したときに課税仕入れにしなければならないとなれば、かなり手間になります。
そこで例外の規定があります。

旧消費税法基本通達11-3-7
(郵便切手類又は物品切手当の引換給付に係る課税仕入れの時期)

法別表第一第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手当の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合は、これを認める。

☆つまり配達してもらうために郵便切手を購入している場合には、継続適用を用件として、購入時に課税仕入れに計上してもよいということになります。

※上記のように消費税ではこの通達により購入した日の属する課税期間において課税仕入れとすることができます。
 しかし、細かい話ですが、所得税や法人税では期末に残っている切手は、原則として貯蔵品として処理する(通信費勘定(費用)から貯蔵品勘定(資産)へ振替る)ため、未使用分は経費にすることができません。
 消費税と所得税・法人税で、納付税額から控除する期間に差がうまれることになります。

○補足(インボイス制度との関係)

ではインボイス制度に移行した現在では、課税仕入れに計上しようとすればインボイスはどうなるのでしょうか
課税仕入れにするには、インボイスが必要になります。
ポストに投函するたびに、インボイスを発行してもらうために郵便局に行かないといけないのでしょうか。

これについては消費税法施行規則第26条の6第2号によって郵便局は、郵便切手を貼った郵便物がポストに投函されたときにおける郵便サービスについて、インボイスの交付義務が免除されています。
つまりこれによって、以前と同様にポストに投函したときに課税仕入れとすることができます

ちなみに、先ほどの課税仕入れの時期についての例外はどうなるんでしょうか。
これについては、以下のように通達が改正されています。

消費税法基本通達11-3-7
(郵便切手類又は物品切手当の引換給付に係る課税仕入れの時期)
法別表第二第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるから留意する。ただし、次の場合において、郵便切手類又は物品切手等(自ら引換給付を受けるものに限る。)を購入した事業者が、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、これを認める。
(1) 当該郵便切手類の引換給付に係る課税仕入れが、規則第26条の6第2号《適格請求書等の交付が著しく困難な課税資産の譲渡等》に規定する郵便の役務及び貨物の運送に係る課税仕入れに該当する場合
(2) 当該物品切手等の引換給付に係る課税仕入れが、令第49条第1項第1号ロ《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に規定する課税仕入れに該当する場合

☆これについても原則と同じく、以前と同様に切手の購入時に課税仕入れとすることができます

○以上が現行における郵便切手についての取扱いです。
 似ているものに自治体が発行する「ゴミ処理券」があります。
 実は今回は郵便切手とゴミ処理券について書こうと思っていました。
「郵便切手とゴミ処理券は、消費税では同じ取扱いでこのように処理します」と書こうと思っていました。
 しかし全く同じというわけではないみたいなのです。
 先日、そのことに気づきました。
 次回はそのことについて書きます。

 

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消費税法における非課税規定について