インボイス制度の適用開始まで3か月を切りました。インボイス制度への備えは万全でしょうか。

今回はよく質問を受ける「インボイス発行事業者の登録をしていない場合、消費税を請求できるか、それともできないか」についてお答えします。

以前はこの質問を受けたとき、「消費税法で課税の対象となっている以上は消費税を請求しても構わないと思います(注)。その後に国に納付されるまできちんと転嫁していくかどうかについてはインボイス制度を開始することによって担保するのですが、インボイス発行事業者の登録をしない場合はその後に転嫁していくかどうかについては気にする必要がありませんので消費税を請求しても大丈夫だと思います。」という旨の回答をしていました。(もう少しわかりやすいようにかみ砕いた言い方でですが)

正しいと思うのですが、わかりづらいだろうなと思います。

令和3年10月25日(月)に各省庁の担当者が出席した「令和4年度税制改正及び中小企業税制等の動向について(於: 参議院議員会館)」に参加したときのことです。

そこで、同様の質問があがったときに財務省(又は国税庁だったかもしれません)の担当者が、「消費税を請求して問題ありません。というのも、消費税の課税事業者であっても何らかの理由によりインボイスの発行事業者の登録をしない人もおられると想定されますので、インボイス発行事業者でないから消費税を請求できないということにはなりません。」という旨の回答をされていました。

この説明のしかたですと一番のキモである「消費税法で課税の対象となっているから大丈夫です。」という説明がないのですが、こちらのほうが現行の消費税を理解されている人はイメージしやすいみたいですので、今ではこの論法で説明しています

※ただし、インボイスと間違えるような紛らわしい領収証等は発行してはいけません。

(注)について、もう少しくわしく説明してみます。
仮にインボイス登録をしていない事業者が商品を売って、領収証に「120,000円」とだけ記載したとします。領収証には消費税率も消費税額も記載していません。そしてこの商品を年間に85個売ったとします。そうすると年間の売上は1千万円を超えることとなります。この事業者の2年後の消費税の納税義務はどうなるでしょうか。免税事業者となるでしょうか、それとも課税事業者となるでしょうか。
正解は、その商品が非課税資産でない限り課税事業者となります。
つまり、インボイス登録をしているかどうかや領収証にどのように記載したかに関係なく、取引内容(商品)に着目して課税かどうかを判定することになります。課税取引である以上、消費税を請求して問題ないということになります。