○日本国内のホテルで宿泊する場合であっても、海外の宿泊予約サイト（Agoda（アゴダ）、Expedia（エクスペディア）、Booking.com（ブッキングドットコム）やTrip.com（トリップドットコム）など）を使って予約することがあると思います。
○この場合、インボイスは発行されるのでしょうか?
結論をいうと、インボイスは発行されます、と言いますか発行されないといけません。
（ただし、ホテルがインボイス発行事業者でない場合はインボイスは発行されません。）
○でも実際は…？
○発行する根拠としては、日本国内での宿泊は、日本国内において直接便益を享受する役務の提供なので消費税が課税されます。
誰（日本人か外国人か）が料金を支払っても、誰（日本の会社か外国の会社か）に料金を支払っても消費税は課税されます。
そしてインボイス発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合でインボイスの発行を求められたときには交付する義務があります。
したがってインボイス発行事業者のホテルは、日本国内における宿泊に係る料金についてはインボイスを発行しなければならないということになります。
○では実際に発行してもらえるかというと、一部では発行されていないのが現状のようです。
○上記にあげた海外宿泊サイトで予約した場合には、海外宿泊サイトでオンライン決済した分はインボイスを発行してもらえず、ホテルで現地決済した場合はその分についてはホテルがインボイスを発行しているようです。
しかしこの取扱いは間違いであり、（原則としてはホテル側が）宿泊料金全額についてのインボイスを発行しなければならないのですが、なぜか実際には多くのホテルでこのような取扱いをしているようです。
したがって、インボイスが必要な場合は事前に発行してもらえるかホテルに確認しておくことをおすすめします。
○一方、国内の宿泊予約サイトを使った場合はどうでしょうか。
実際に私が使ってみたところ、
・楽天トラベルで予約して宿泊した場合、オンライン決済したときは楽天グループ株式会社が媒介者交付特例を使ってオンラインでインボイスを発行し、ホテルで現地決済したときはホテルがインボイスを発行していました。ちなみにインボイス発行事業者ではないホテルを予約してオンライン決済したときは楽天グループ株式会社が領収証を発行し、その領収証には「本領収証は税務上の適格請求書等ではありません。」と赤字で注意書きされていました。
・Yahoo!トラベルで予約して宿泊した場合、オンライン決済したときは株式会社一休が媒介者交付特例を使ってオンラインでインボイスを発行しました。
・るるぶトラベルで予約して宿泊した場合、SBペイメントサービス株式会社が媒介者交付特例を使ってオンラインでインボイスを発行しました。
なお、アゴダで予約した場合、オンライン決済したものはAgodaInternationalJapan株式会社がインボイス非対応の領収証を発行し、現地決済したものはホテルがインボイスを発行しました。
やはりアゴダでオンライン決済した場合は、インボイスは発行されないようです。
ご注意ください。
【 追 記 】
この記事を書いてから色々なホテルのHPを見てみましたが、各ホテルで「海外サイトからご予約いただいて事前決済された場合、領収証（インボイス）はホテルでは発行できません。領収証の発行は旅行会社へお問い合わせください。」という旨の記載がされています。大手ホテルグループの各社も同じようなことを公表しています。
私見ですが、これはホテルのHPから直接予約をするように誘導するためではないでしょうか。
（海外サイト経由だと載せている料金は割安価格ですし、予約があった場合は海外サイトに紹介料を支払う必要があるのでホテルとしては売上も利益も少なくなります。）
何でこれだけ多くのホテルが間違った取扱いをしているのか不思議でしたが、そのように考えれば腑に落ちます。
※媒介者交付特例については、こちら（過去の記事）をご覧ください。
https://shinjukukaikei.com/2024/01/24/%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%9c%e3%82%a4%e3%82%b9%e5%88%b6%e5%ba%a6%e3%81%ae%e5%aa%92%e4%bb%8b%e8%80%85%e4%ba%a4%e4%bb%98%e7%89%b9%e4%be%8b%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f/
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