〇経営分析の手法として、まずは粗利率による分析というものがあります。
 粗利率というものはどういうもので、どう役立てるものが記載していきます。

〇粗利益とは
 粗利率の前に粗利益というものについて説明します。
 粗利益は売上総利益とも言い、「売上高-売上原価」で算出します。
 商品を販売する事業においては、売上原価という費用が必ずでます。
 その売上原価を除いた利益(=粗利益)で他の販管費等の費用をまかなっていかなければならないため、利益という名前がつくものでは一番指標として使いやすいものとなります。

〇粗利率とは
 粗利率は売上総利益率とも言い、「粗利益 / 売上高」で算出します。
 粗利益を稼ぐにあたっての売上高に対する効率を表します。
 高ければ効率よく稼いでいる(購入者にとってみれば割高)ということになり、低ければ効率悪く稼いでいる(購入者にとっては割安)ということになると思います。
 一般的には、金額が大きいものであったり滅多に売れないもの(生涯で数回しか購入されないもの)は粗利率は高いものが多く、金額が低いものや頻繁に売れるものは粗利率は低いものが多いと言えます。

〇粗利率の活用方法
 粗利率はそれだけを見ていても、あまり意味がありません。
 活用方法の一つとして同業者平均との比較というものがあります。
 まずは自分の事業の平均の粗利率を知らべ、それが自分の事業の粗利率と比べてどうなのか比較してみます。
 例えばそば屋を例にあげますと
 そば屋の粗利率は70%~80%と言われています。
 自分の店の粗利率がこれよりも低かったとして、すぐにそれが悪いかというとそういうわけでもありません。
 粗利率が平均よりも低かったとしても、立ち食いそばのように客の回転率が高く薄利多売を狙う場合は粗利率が低くなるのは当然ですので、粗利率が低かったとしても最終的な利益が出ていれば問題ないとうことになります。
 逆に粗利率が平均の範囲内であっても、高級路線を目指しているのであれば粗利率は低いのかもしれません。(最終的に満足できる利益が出ていれば問題はないのですが。)
 自分の店の目指しているコンセプトも考慮して同業者平均を活用する必要があります。
 また、新メニューを出すときにも、もう少し粗利率を上げたいと思えば、今までよりも原価率を下げたものを開発する工夫をすることになります。

〇その他の活用方法
 だいぶん前の話ですが、小売業の顧問先のかたから300万円の機械を導入したいが良いと思うか聞かれました。
 その機械を導入すれば今よりも売上が増えると思うとのことでした。
 300万円の機械を5年使うとして1年あたり60万円の負担になります。
 1月あたりでいうと約5万円。
 その会社の粗利率が30%なので、毎月約7万円ほど売上を上げる必要があります。
 「単価1,000円として、1月あたり70人(1日あたり2~3人)お客を増やせられるならいいですけど、大丈夫そうでしょうか。」
 と聞きましたら、無理そうということで購入をやめられました。
 ※数字については、うろ覚えです。
 このように新規の設備投資をする際にも粗利率は役に立ちます。

〇税務調査での活用方法
 税務署の税務調査でも同業者平均は使用しています。
 確定申告書に業種を記載する欄がありますが、その目的のひとつが同業者平均を計算するためです。
 調査先を選定する上で、その納税者の粗利率と同業者平均を比較します。
 同業者平均よりも低いとおかしいということになりますが、先ほどのように薄利多売を狙っていそうな店なら問題ないということになります。
 一般的な店であるのに、どう考えても同業者平均よりも低いということであれば、売上除外か架空仕入又は期末棚卸資産の過少計上を疑うということになります。

〇以上、粗利率について書いてみました。
 前回のAIの記事と比べてどうでしたでしょうか。
 どちらのほうが検索数が多いか勝負したいと思います。
 負けたら今後はAIで書こうかな…。